野球が日本に伝えられてから120年以上の長い歴史の中で、もともとは baseball で使われていた純正な英語の用語が日本風にアレンジされて、一見正しい英語表現らしく思われるものの、実は英語としては通用しないいわゆる「和製英語」が量産されていった。こうした「和製英語」は私たちが英語を学習する上で大きな障害の1つとなっている。
本書では、プロ野球でしばしば使われている「和製英語」を100項目取り上げた。まずそれぞれの「和製英語」の誤用例を示し、次に誤りの理由を平明に解説した上、正しい英語表現の例文を明示している。
内容紹介
アメリカで生まれた baseball の最初の公式試合は、1839年、ニューヨークのクーパースタウンで行われた。baseball は、日本では1873年(明治6年)、東京大学の前身である開成学校で、米人教師によって始めて紹介された。「野球」という言葉が baseball
の訳語として登場したのは、それから21年後の1897年のことである。
日本の野球では、「ピッチャー(pitcher)」「キャッチャー(catcher)」などの英語表現が使われるが、その訳語である「投手」「捕手」といった日本語表現も併用されている。
太平洋戦争の時には、英語は敵性語ということで、日本での使用が禁止された。野球用語としての英語も、全て日本語でしか使うことが許されなかった。例えば、ストライク(strike)は「よし」、ボール(ball)は「だめ」、アウト(out)は「それまで」のように言わざるを得なかったのである。
戦後になると、英語の学習は色々な分野で大いに助長されるようになり、野球関連の英語の語彙も益々増加していった。
野球が日本に伝えられてからの120年以上の長い歴史の中で、元々は baseball で使われていた純正な英語の用法が日本風にアレンジされて、一見正しい英語表現らしく思われるものの、実は英語としては通用しないいわゆる「和製英語」が量産されていったのである。こうした「和製英語」は、私たちが英語を学習する上で大きな障害のひとつになっている。
本書では、プロ野球でしばしば使われている「和製英語」を100項目取り上げた。まずそれぞれの「和製英語」の誤用例を示し、次に誤りの理由を平明に解説した上で、正しい英語表現の例文を明示した。
「解説」の項では、日本のプロ野球史に燦然と輝く名選手や現在活躍中の注目の選手、あるいは興味あるプロ野球記録などについても触れた。
「映画からの実例」では「解説」で説明した正しい英語表現が、実際どのように私たちのなじみ深い名画の中で使われているかを例証した。
「状況と背景」で、どのような場面でのどのような意味のセリフであるかを概略説明しているが、理解を容易にするために、あらかじめ「本書に関連した映画のあらすじ」をご一読いただきたい。
プロ野球をこよなく愛し、英語に興味のある方々に、本書を少しでも役立てていただければ幸いである。
「はじめに」より
本書で取り上げている主な映画タイトル
フィールド・オブ・ドリームス
さよならゲーム
メジャー・リーグ
エイトメン・アウト
プリティ・リーグ
ミスター・ベースボール
ロッキー
ロッキー4
ロッキー5
インディ・ジョーンズ 最後の聖戦
スター・ウォーズ 帝国の逆襲
レインマン
ミッドナイト・ラン
著者紹介
染矢 正一(そめや・まさかず)
大分県佐伯市に生まれる。カリフォルニア州立大学大学院終了。現在は、大分県立芸術文化短期大学助教授。主な著書に、『教室英語表現辞典』(大修館書店)、『英語発音の基本演習』(共著・大修館書店)、『英語ここがわからない』(明日香出版社)、『英語発音の基本演習』(マクミラン・ランゲージハウス)、『Listening Quiz』(共著・成美堂)、『A Unified Approach to American English』(共著・成美堂)、『Communicative English Through Humor』(共著・成美堂)、『Jiro Goes to America』(共著・金星堂)、『Jiro Goes to England』(共著・金星堂)、『Jiro Goes to Europe』(共著・金星堂)、『Great American Hit Songs』(共著・マクミラン・ランゲージハウス)、『Fresh Preps』(共著・マクミラン・ランゲージハウス)、『Zoom in on Japanese Culture』(共著・マクミラン・ランゲージハウス)などがある。趣味は農作業とソフトボール。
書籍情報
著者: 染矢 正一
定価: 1,262円(本体価格)
発行: 1994年 7月19日
体裁: B6判 190ページ
出版社: 株式会社スクリーンプレイ
ISBN978-4-89407-019-6