内容紹介
映画のダイアログは生きた英語の宝庫です。
扉を開ければ、俳優の息づかいと共に珠玉の表現が飛び出してきます。いずれの表現も、この瞬間を生きている、リアルタイムの言葉です。
映画の利点は、言葉があるシチュエーションの中で使われている所にあります。このシチュエーションのお陰で、言葉のTPOを学ぶことができ、もう少し注意深く勉強していくと、文化背景や生活環境の違い、さらには、日本人とは違うものの見方や考え方までもが見えてきます。言葉とは不思議なもので、ただ、言葉だけを追いかけても、本質的な理解に到達しないことがあります。
生きている言葉とは、その言葉が発せられる周辺事項までを含めて総合的に学んだ時に初めて手に入る物と考えます。その点、映画は豊富な材料を提供してくれますので、様々なアプローチが可能になります。ところが、周辺事項を学ぶと一口に言っても、これは言うほど簡単なことではないのです。なんらかの仲立ちが必要となります。
本書は、映画の中の、結婚・家庭・夫婦の会話にスポットを当て、言葉の周辺事項を含めて、この三つの世界を探っていくものです。
夫婦や家族の間で交わされる一つの言葉が、どういう場面で、どういう風に使われ、どういう意味を持っているのか、文字通りの意味なのか、皮肉なのか、ジョークなのか、あるいは背景に何か秘密が潜んでいるのか、言葉の意味にさらに一歩踏み込んだ分析をしながら考えて行きます。そうすることによって、何の変哲もないごく普通の表現の中にさえ新たな発見をすることもあるでしょう。
たとえば、アメリカの映画のなかには、妊娠9カ月という言葉は出てきても、妊娠10カ月という言葉は出てきません。これは彼らが9カ月で出産するからです。そのため、登場人物が「今、9カ月なの」と言えば、それはもう出産が近いという緊張感を表しています。日本流に考えて「あと1カ月ある」というのんびりしたものではないのです。こう言ったひとつの言葉を知ることで、見えなかった世界が見え、映画の見方も変わるかも知れません。
恋愛・プロポーズ・結婚・出産・家庭・夫婦・子供・日常生活に関連する語彙、表現を数多く取り上げました。また、それらの表現が文脈の中で捉えられるよう前後のダイアログも掲載しています。面白い表現、誤解を招きやすい表現、頻度の高い表現、そして日常的なスラングと、選んだ言葉は多岐にわたります。本書が英語に親しむきっかけになり、映画をより身近に感じて頂けるようになれば幸いです。(「はじめに」)より
一例ページ
実際の映画のシナリオを使って、どのように英語を学習してゆけばよいのかをたっぷりと例示します。
書籍情報
結婚・家庭・夫婦の会話
編著: 新田 晴彦
定価: 951円(本体価格)
発行: 1993年6月29日
仕様: B6判 266頁
出版社: 株式会社スクリーンプレイ
ISBN978-4-89407-078-3